2012年 10月のフィールドノートから

10月24日 大和村名音

 バードウォッチャーなら誰しも縁のある鳥と縁のない鳥があると思うが、私の場合チゴハヤブサには縁が薄い。日本では北海道などで繁殖するが、春と秋の渡りの時期には日本中で観ることができる……はずなのだが、なかなか出合うことがないのだ。夏の北海道で繁殖地を教えてもらって観たのがほとんど唯一の観察記録で奄美では毎年のように出現しているにもかかわらず、これまですれ違ってばかりいた。そのチゴハヤブサにようやく奄美で対面できた。

 電柱の上に小型ハヤブサが止まっているのを見つけ、チョウゲンボウにしては尾が短いなと思ったらチゴハヤブサだった。下尾筒や腿の羽毛がまだほとんど赤褐色ではないので、幼鳥だと思われる。さしずめチゴハヤブサの稚児である。ともあれ、久々にテンションがあがった。

▲よく見ると、胸と下腹がわずかに赤く染まっているのがわかる。