2005年オオトラツグミ一斉調査 結果報告

 12回目を迎えたオオトラツグミ一斉調査の結果、過去最多のさえずり個体数を確認できました。その結果と調査の写真を掲載しました。

オオトラツグミ一斉調査にご協力いただき、有難うございました。

一斉調査実施日:2005年3月19日(土)・20日(日)・21日(月)

 私たち奄美野鳥の会では、奄美の森に生息する貴重なオオトラツグミの繁殖個体数の増減を把握しておくために、1994年からこの鳥が一斉にさえずり始める毎年3月に奄美大島で一斉調査を行っています。

 今年は、3月19日(土)に定点調査(湯湾岳など)、20日(日)の一斉調査(奄美中央林道全域・油井岳)、21日(月)に補足調査を実施し、残りの地域につきましては、4月初旬までに奄美野鳥の会の会員で順次追加調査を行いました。

 その結果、19日の補足調査に27名、20日の一斉調査に102名、21日の補足調査に19名の方々がボランティア調査員として参加していただきました。3日間の合計で 延べ148名のボランティア調査員の方々に参加していただき、122羽のさえずり個体を確認することができました。
 さらに、会員による追加調査を含めた4月初旬までの調査全体では、総計でさえずり個体が171羽となり、これまでで最も多くのさえずり個体総数を記録し、延べボランティア調査員の総数も200名を越え、これまでに最も多くの方々にご協力をいただいたことになります。

 またこれまでと同じように今年も奄美野生生物保護センターや鹿児島森林管理署の協賛、鹿児島県大島支庁農林課・名瀬市・笠利町・龍郷町・大和村・住用村・瀬戸内町のご後援をいただくことができました。奄美博物館には調査員説明会の会場を提供していただきました。調査に参加されたみなさん、ご支援をいただきました諸団体や個人の方々に対し、改めて心から感謝致します。ご支援、ご協力ありがとうございました。

特定非営利活動法人 奄美野鳥の会 会長 高 美喜男

調査のようすを写真でご紹介します

●2005年オオトラツグミさえずり調査結果
調査日調査地調査地点調査員確認羽数
3/12(土)戸口林道221
朝戸220
和瀬113
安念勝林道221
神屋国有林223
3/19(土)小湊安木屋場線565
丸畑線467
湯湾岳568
住用中央東線7911
3/20(日)奄美中央林道409368
油井岳696
3/21(月)住用ダム線7107
石原113
スタルマタ林道487
3/26(土)役勝(国道)448
3/27(日)篠川下福線330
網野子111
節子220
勝浦223
3/29(火)赤房林道221
4/03(日)湯湾釜線121
津名久線111
三田川110
大和川110
大棚川220
名音川221
4/04(月)知名瀬林道111
4/05(火)山間林道222
川内川223
金久田川111
根瀬部林道(東)111
4/06(水)今里地区223
大良川(上流)110
志戸勘線(終点)113
4/07(木)三太郎線221
根瀬部林道(西)111
4/09(土)田検川222
小川岳(北、東)223
4/11(日)恩勝線110
大和村役場北側110
マテリア線北111
マテリアの滝(北)112
水辺の広場周辺110
フォレストポリス駐車場南111
小川岳(南)110
志戸勘川110
合 計46地域136地点206人171
●オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果の推移
奄美中央林道その他合 計
199024羽1羽25羽
199440羽14羽54羽
199518羽14羽32羽
199618羽11羽29羽
199727羽14羽41羽
199821羽17羽38羽
199944羽28羽72羽
200025羽36羽61羽
200140羽34羽74羽
200240羽37羽77羽
200343羽61羽104羽
200442羽84羽126羽
200568羽103羽171羽
*「その他」の観察は、1990年と1996年は任意観察のみであるが、1994年と1995年、および1997年以降は定点観察も行なった。1994年、1995年、1997年以降に比べて、1996年の観察地点はかなり少なく、見落としが多い。
(1990-1995は、石田ほか1995から抜粋)
 1998年以前は奄美中央林道の里・金作原地区と神屋地区のみの調査であったが、1999年以降は奄美中央林道全域を調査した。
 その他の場所は年々観察地点が増えているため、個体数が増えている。

*表は、Strix vol.15.1997.『オオトラツグミのさえずり個体のセンサス結果(1996年春)奄美野鳥の会』に1997年以降の調査結果を加えて作成。

 今回はこれまでの調査で最も多い延調査員総数206名で、オオトラツグミが生息している可能性のある奄美大島のほぼ全域を調査することができ、過去最多の個体数を記録した。奄美中央林道全域の比較でも個体数が増えていることから、森林の回復傾向が示唆されるが、さらに今後とも注意深く見守っていく必要がある。