2005年 1月のフィールドノートから

1月6日(木) 喜界島百之台

 喜界島のウグイスがおもしろい。2004年8月のフィールドノートに記したように、ここで繁殖しているウグイスは亜種ダイトウウグイスである可能性が高いのだが、今回の調査によると、越冬しているウグイスはそれとはまた別の亜種である可能性も出てきた。喜界島では、夏と冬でウグイスの個体群が入れ替わっている可能性もある。非常に興味深いので、また別のシーズンに調査に来ようっと。

 さて、本日はルリビタキが何羽かかかった。そこで質問。この写真のルリビタキ、性別はどちらでしょう?

 答えは若いオスである。目をこらしてよく見ると、肩羽の根元付近がかすかに青くなりかけているのがおわかりだろう。何年かけて全体が青くなるのかわからないが、青いルリビタキのオスは、奄美ではほとんど観ることがない。悔しいなあ。

1月16日(日) 龍郷町某所

 前園夫妻、森田さんと一緒に洞窟探検。

 奄美の冬は風が強く、甘くみて薄着などしていると簡単に風邪をひいてしまう。きょうも強風に乗ってときおり小雨が叩きつける荒れた天気で、とても寒い。しかしながら、一歩洞窟に入ると風も侵入せず生暖かい。これは極楽だなあ、と思っているのもつかの間、奥に進むと厚着が仇になるほど暖かくなってきた。しかし、へたに脱いでそこらに置いておくなんてこともできない。地面はコウモリの糞だらけで、長靴でなければ悲惨な目に合うこと請け合いなのだ。そう、この洞窟にコウモリを探しに来たのだった。

 奥に進めば進むほど、空気が薄くなるように感じ、独特の臭気に気分が悪くなる。コウモリの糞の堆積が高くなっている。なかには膝丈くらいの小山になっているような場所もある。これが全部コキクガシラコウモリの糞だなんてすごい。糞の山にはダニがたかっており、小さなカマドウマやよくわからない蜘蛛型動物の姿も。しかし、きょうはどういうわけだか、コウモリ自身はあまりいない。多い日は天井にびっしりという話なので、日によって休む洞窟を変えているのだろうか。謎。

▲コキクガシラコウモリ。止まっていると人の指ほどの大きさだった。
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