2005年 6月のフィールドノートから

番外編:6月3日(金)~9日(木) 北海道

 鳥も生き物だから、巡り会わせというものがある。大学生の頃から数えて、北海道にはこれまで20回以上も行っているが、なぜかクマゲラには出会ったことがない。有名な営巣地をあえて避けて偶然の遭遇に期待していたせいもあったのだろうが、それにしてもここまで縁がないと、これはもう一生観れないんじゃないかという気持ちになってくる。やはり一度は見ておきたい鳥だったので、今回は営巣が知られている苫小牧の北大演習林へ。

 駐車場脇には十名ほどのウォッチャーがカメラやスコープを構えて待っている。みんなが観ているトドマツの気を見ると高さ4mくらいの位置になるほど丸い穴が開いている。それにしてもこんなにわかりやすい場所とは。いまは抱卵中らしく、1~2時間に一度の割合で、オスとメスが交替に来るらしい。ならば待つまで。そのまま待つこと約2時間。コロコロコロという独特の声とともに、一羽の黒い大きな鳥が飛来した!

▲やってきたのはメス。それと交替してオスが巣穴から飛び出していった。

 今回の北海道の個人的なテーマは巨木めぐり。日本百名木に選ばれている十勝三叉のハルニレを観にいくと、偶然そこで20数年前にこの地でミユビゲラの生息を再確認された田中さんにお会いすることができた。標高1000m程のエゾマツ林を丹念に探せば、いまでもまだ生息しているかもしれないとのお話をうかがう。しかし、ここはヒグマの多発地帯である。ほんの数日前も林道に出たようだし、2年前に来たときには真新しい糞も目撃している。ミユビゲラも観たいが、命は惜しい。樹林のかなたに思いをはせて、この地を去ることに。

▲十勝三叉のハルニレ。あたりを睥睨しているかのごとく堂々と立っている。

 巨木がらみで能取湖近くのヤチダモを観に行った帰り、網走近郊の浜辺でオジロワシを発見。冬にはそこらじゅうにいるこの大きなワシを雪のない風景の中で観ると新鮮な感じがする。繁殖個体数は増えているのだろうか。

▲獲物の魚をつかまえたオジロワシ。

6月27日(月) 大瀬海岸

 大瀬海岸にオニアジサシが入っているという情報を得たので、行ってみることに。濃い朝靄で、視界が利かない中双眼鏡で探す。コアジサシ、ベニアジサシに混じって飛ぶ大型のアジサシを発見。非常に見づらいが、嘴は赤くないことは確実。ハシブトアジサシのようである。ハシブトアジサシは毎年この時期にここを通過しているみたいである。しばらくハシブトアジサシを見ていると、その視野を大きな白い鳥が横切った。あわてて双眼鏡をそちらに向ける。オニアジサシである。半端じゃない大きさにしばしみとれるうちに、どこへともなく飛び去っていった。

▲朝靄の中を悠々と飛ぶオニアジサシ
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